ファンキーなその姿、ありがたし。

ぶっ飛んだお願いも、寛容に受け入れてくれる。たぶん。

歴史の香り漂う寺院に
「ジミヘン」見つけたり。

 ジミ・ヘンドリックスという世界的に有名なギタリストのレビューには「ファンキー」という言葉がよく用いられる。彼の音楽はもちろん、それを体現するかのような、ファッションセンスにおいてもぴったりの言葉だ。そう、あのヘアスタイルにも…。

 京都市左京区黒谷町に広がる金戒光明寺は、浄土宗の開祖である法然上人が初めて草庵を結んだ地として知られる。地元の京都人は親しみを込めて「黒谷さん」と呼ぶ。江戸末期には京都守護職を務めた会津藩の本陣が置かれ、かの新選組もここから歩みを始めた。京都に数ある寺社の中でもひときわ色濃く歴史の香りを残す境内は、時代劇や映画のロケ地としても人気が高い。そんな名優たちが立ち回る舞台に、最も強烈でファンキーな大仏がいらっしゃるのだ。通称「アフロ大仏」こと、五劫思惟阿弥陀仏(ごこうしゆいあみだぶつ)である。

静寂から、いきなりファンキー。

 境内の墓地に入り、三重塔へと続く静かな参道。向かってすぐの左側の墓石に混じって「アフロ大仏」は鎮座している。なんというファンキーなヘアスタイル! 探す必要はない。あのお姿をひと目みれば、これがかの「アフロ大仏」だとわかるはず。お顔は水のように落ち着いて優しい。そのお顔の数倍の面積で、頭髪が迫っている。インパクトが強烈過ぎるゆえだろうか、ひとりでに脳内でビートが響き出す…。静寂が包む境内で虚空を見つめて座る「アフロ大仏」。このギャップ、バイブスが急上昇するほどにキューリなのだ。

止まらないバイブスの体現

 「アフロ大仏」こと、五劫思惟阿弥陀仏は、そもそもどういう仏さまなのか。寺の担当者によると「天女が3年に一度のペースで巨大な岩を羽衣でなでて、その岩がなくなるまでの時間の5倍という、とんでもない長い期間を修行された阿弥陀さまのお姿です」とのこと。アフロみたいな髪型は、正しくは「螺髪(らほつ)」といい、長い修業のために髪が伸びて、一本一本が巻き貝のようにぐるぐる巻きになっているのだとか。まさに止まらないバイブスを体現している存在。知れば知るほどキューリさは増す。

ビートのかけらが輝く時

 アフロ大仏のグッズも充実している。なかでも、ここでしか買えない「コンペイトウ」は、究極にファンキー。頭髪部分が透明になった袋から、色とりどりのコンペイトウが見える。キラキラと輝くその一粒は、「アフロ大仏」こと五劫思惟阿弥陀仏が生きとし生けるすべてのものたちへ刻み続ける、救いのビートのかけらのようだ。


金戒光明寺
京都市左京区黒谷町121
075-771-2204
https://www.kurodani.jp/

・アフロ大仏のコンペイトウ 350円 

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