上品な中身に似合わない外見。(良い意味で)

カラフルな丸い玉。なんだかとにかく可愛い。それだけでもはや欲しい。 見た目からは想像できない上品な香り。なんだこれ。

新門前は
早朝から面白い

 東大路通から大和大路通までのおよそ400m。新門前通は東山区の東西の通りで、古門前通と並び、骨董屋や古美術商がひしめく面白い通りだ。大和大路から入ってすぐにある尾張屋は、とくに面白い。京都で尾張屋といえば、まずは蕎麦の老舗が頭に浮かぶのだが、この尾張屋はまったくの無関係。1977年創業の香の専門店だ。ガラス張りの飾り棚には、京町家の商家の構えに相応しく、匂い袋や香が鎮座する。しかし中に入れば、至極気さくな2代目店主が、朝の8時から迎えてくれる。

外側は最中の皮!?
コロコロまるい香り玉

 店内に漂う奥ゆかしい香りにうっとりしていると、カラフルなピン球くらいの玉が目に留まる。手に取ると、なんとも派手だが愛らしさが勝利する。ちょうど半円でツートンカラーに分かれていて、片方は眼が覚めるほど鮮やかなショッキングピンク。もう片方は白、黄、緑、青、紫と、5色もバリエーションがある。この軽さは発泡スチロールかと思いきや、「モナカの皮のようなもんだよ」と店主が説明してくれた。玉の中には白檀(ビャクダン)をベースに、龍脳(リュウノウ)、丁子(チョウシ)といった香木が、店のオリジナルブレンドで詰められており、オリエンタル系のスパイシーな香りがたまらない。
普通であれば西陣織の小袋にでも入っていそうな上品な香りが、キッチュな色モナカに包まれている。このギャップがキューリである。

可愛いのに虫がつかない。
使い道は十人十色。

 店主曰く香の素材は「とにかく虫除けに最適」なのだそう。着物などが収納された和ダンスの引き出しに、コロコロと転がしておくのが王道だろうが、玄関に置いたりバッグに忍ばせたり…。使い道はこの玉のごとく十人十色。この可愛らしさなら、ちょっとしたインテリアになることも間違いない。表層の「モナカの皮」がつぶれないように、自分好みに使ってほしい。

・香り玉 1個 180円


尾張屋 
京都市東山区新門前通大和大路東入西之町201
075-561-5027
8:00〜19:00
不定休

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